先に簡単に答えられるものについてお答えしましょう。
>実ベクトル空間の記号Rが"中が空洞になった太字体"で表記されているのには何か意味があるのですか?
実数(real numbers)全体のなす集合は非常によく使われるので、いちいちことわらなくても誰にでもすぐ通じる記号にしたい。(例えば円周率をギリシア文字のパイで書くように。)普通のRやせいぜい太字のRでは他の記号と区別が付かないので、特殊な字体を用いたものです。手書きの太字がもとになっています。
>また、「関数」と「函数」は意味が違うのでしょうか
英語のfunction(むしろドイツ語のFunktionかも知れませんが)を日本語に訳すときに「函数」と訳し、それがずっと続いていたのですが、戦後、当用漢字というものが制定され、「函」の字がそれをはずれたので、同じ音で意味がそれ程わからなくもない「関」の字で代用したものです。(同じ理由で「共軛」が「共役」になったりした。「矩形」から「長方形」のように音も変わってしまったものもある。)ですから語源的には全く同じものです。
しかし、「函数」という言葉は、「点」とか「図形」とかと同じように、いろいろなところで色々な意味で使われる概念であり、はっきりした定義がある訳ではありません。(いや、はっきりした定義はある、という人もいるかも知れないが、それはその人が「函数」という言葉をいつでもその定義で使っている、ということに過ぎません。似たような言葉に「写像」がありますが、これはまことにはっきりした概念で、定義は誰が考えても実質的に同じと言ってよいでしょう。)定義がはっきりしていれば「函」を使うか「関」を使うかは単に好みの問題になりますが、定義がはっきりしないときはどちらを使うかによってニュアンスが違ってきます。すなわち、「函数」と「関数」は微妙に意味が違う可能性があります。
>行列式は転置しても値が同じなのは何故でしょうか。
>また、det(AB)=(detA)(detB)が成立するのは何故ですか? (2x2行列式なら実際の計算でわかるが一般にnxn行列式ではどの様に証明すれば良いのでしょうか)
>ベクトルや関数の「内積」とは具体的に何を表す数量なのですか?
これらについてはまた後ほど。